これまでの動き


お知らせ

 2023年10月10日、ユーラスエナジーが(仮称)みちのく風力発電事業の取り止めを発表しました。

→ユーラスエナジーホールディングス社のホームページ
 (仮称)みちのく風力発電事業の取りやめについて






最新情報はFacebookとTwitterで
配信しています。




事業が公表されてから今までの経緯を、新聞記事等でまとめています。
下記の № 日付【○○新聞】 をクリックすると記事が開きます。



№20 2023年10月11日【東奥日報】※前日発表された白紙撤回の記事です。 №20 2023年10月11日【東奥日報】
  • 八甲田風力 白紙撤回 /地元意見含め総合判断
  •  ユーラスエナジーホールディングス(本社東京)は10日、青森市など6市町の八甲田周辺や山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」について白紙撤回すると発表した。撤回の理由について同社は「地域の皆さまや各自治体からの意見を含めて総合的に検討した結果、計画を推進していくことは適切ではないと判断した」としている。
  • 【東奥日報】10/11(第1面)


  • 【東奥日報】10/11(第3面)

  • №20 2023年5月20日【東奥日報】※公開質問状に対する回答を掲載しました。 №20 2023年5月20日【東奥日報】
  • 知事選、青森市長選候補者 八甲田風力、反対多く /市民団体調査
  •  八甲田周辺で計画中の「(仮称)みちのく風力発電事業」について、青森市の市民団体「Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に」は19日、知事選の立候補者4人、青森市長選の立候補予定者3人にそれぞれアンケートした結果、「無回答」「後日回答」の2人を除き、回答者全員が白紙撤回を求める考えを示したと発表した。


    上記の記事にあるように、当会は県知事選・市長選に出馬する候補者に
    「公開質問状」の回答をお願いしました。

  • 以下に、まとめたものを掲載します。

    【県知事選候補者の回答】
    →PDFダウンロード[616KB]

    宮下候補者からは書面で「無回答」との連絡がありました。
    →PDFダウンロード[56KB]

    【市長選候補者の回答】
    →PDFダウンロード[583KB]


    №19 2023年4月6日【共同通信】 №19 2023年4月6日【共同通信】
  • イヌワシ生息地に大型風力 計画の2割、悪影響懸念
  •  全国の大型陸上風力発電所計画の2割は、国内に約500羽しかいないイヌワシの生息域と建設予定地が重なり、生息に悪影響が懸念されるとの報告書を日本自然保護協会が6日、公表した。地球温暖化対策として大型風力発電所の計画が急増しており、報告書は「真に持続可能な再生可能エネルギー推進のため、生物多様性に重要な地域を避けるべきだ」とした。特に影響が大きい計画は中止を求めた。
     2018年以降に公表された267件の環境影響評価(アセスメント)の書類を対象に、保安林や国立公園との重なり、希少鳥類の生息域の有無など14項目で分析した。
  • 絶滅危惧種のイヌワシ(日本自然保護協会提供)

  • №18 2023年4月6日【東奥日報】 №18 2023年4月6日【東奥日報】
  • 小野寺氏「白紙撤回を」 八甲田風力/知事選
  •  知事選(6月4日投開票)に出馬する青森市長の小野寺晃彦氏(47)は5日、報道陣に対し、八甲田周辺や山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」について、白紙撤回を求めていく考えを明らかにした。

  • №17 2023年4月6日【東奥日報】 №17 2023年4月6日【東奥日報】
  • 三村知事、 八甲田風力「撤退したらいかがか」
  •  「きれいさっぱり撤退なさったらいかがでしょうか」。三村申吾知事は5日の定例記者会見で、青森市などの八甲田周辺や山間部で計画中の「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、持論を展開した。関係自治体から反対が相次ぐ中、事業者が「地元首長の了承」を前提に掲げたことを受け発言した。一方で「知事という公的な立場は法令順守でやりとりするもの」と述べた。
  • 会見で、八甲田周辺などでの風力発電事業に関する自身の考えを述べる三村知事

  • №16 2023年4月1日【東奥日報】 №16 2023年4月1日【東奥日報】
  • 「八甲田風力 撤回を」 宮下氏 県政緊急課題5項目/知事選
  •  次期知事選(6月4日投開票)に出馬表明している前むつ市長の宮下宗一郎氏(43)が31日、八甲田周辺や山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」について事業者に計画の白紙撤回を求める意向を明らかにした。その上で、再生エネルギー促進域と自然保護域を条例で定め、再エネ推進と自然保護の共生を図ると述べた。計画地に近い青森市横内の雪中行軍遭難記念像周辺で取材に応じた。
  • 風力発電の計画地を背景に、景観の保護、自然環境の保全の必要性を語る宮下氏(左)=31日午前、青森市横内の雪中行軍遭難記念像付近

  • №15 2023年3月29日【東奥日報】 №15 2023年3月29日【東奥日報】
  • 八甲田風力 「地元首長の了承」前提
  •  青森市など6市町の八甲田周辺や山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」の住民説明会が26日、終了した。事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社東京)は、事業実施の前提には「地元首長の了承」が必要とした上で、「地域の声を無視して事業を進めることは絶対ない」と繰り返し、さらなる規模縮小も含めて再検討するとした。6会場での説明会には県内外から延べ345人が参加、発言に立った多くの人が計画の見直しや白紙撤回を迫った。
  • 青森市で行われた説明会。参加者の発言が相次ぎ終了予定時間を大幅に超えた=18日、同市のアスパム

  • №14 2023年3月19日 18:00【青森テレビ】 №14 2023年3月19日 18:00【青森テレビ】
  • 八甲田周辺での風力発電事業住民説明会  事業者「真摯に受け止める」
  •  青森県八甲田周辺で計画されている風力発電事業について、事業者による住民説明会が青森市で開かれました。
     青森市で開かれた住民説明会には、およそ120人が参加しました。八甲田周辺の風力発電計画=仮称・みちのく風力発電事業は、当初、青森市や平内町など6つの市と町にかかる八甲田周辺のおよそ1万7300ヘクタールに最大150基の風車を設置するとしていました。説明会で事業者のユーラスエナジーは、住民や自治体からの意見をもとに風車の数を半分以下の71基にするといった見直し案を示しましたが、参加者からは災害時に風車が倒壊するおそれや八甲田からの水が流れ込む陸奥湾の生態系への影響が懸念されるとして事業の白紙撤回を求める声が相次ぎました。
    ※参加した人は
     「事業ありきで進んでいるということが信じられなくて、とにかくやめていただきたい」
     「青い森、青い海が売りのポイントだと思うんですよね。漁業の問題にしても打撃を与えるかなと思います。ですからぜひやめていただきたい」
    ※ユーラスエナジーホールディングス秋吉優副社長執行役員
     「青森の自然・八甲田の自然に対する強い思い、私としても真摯に受け止めなければと感じた」

     ユーラスエナジーでは、引き続き設置予定の自治体で説明会を開くことにしています。

  • №13 2023年3月18日【東奥日報】 №13 2023年3月18日【東奥日報】
  • みちのく風力説明会で住民反対相次ぐ/七戸
  •  青森市、平内町、七戸町などの八甲田周辺や山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」について、事業者のユーラスエナジーホールディングス(東京)は17日、七戸町の七戸中央公民館で住民説明会を開いた。風車の設置数を当初計画の120~150基から最大71基に半減させる規模縮小方針を正式に公表したが、参加者からは事業そのものに反対する意見が相次いだ。

  • №12 2023年3月16日【朝日新聞】 №12 2023年3月16日【朝日新聞】
  • 陸上風力発電が増加、自然環境守れるか 地元との共生重視の事業者も
  •  再生可能エネルギー推進で陸上風力発電事業の計画が増えている。自然環境に影響があるとして住民や首長から反対の声もあるが、地元との共生を重視する事業者もある。地球温暖化対策を急ぎつつ地域の自然環境をどう守るか。模索が続く。

    ─────

     日本最大級の樹氷が広がる八甲田山系。青森市など6市町に最大150基の風車を建設する計画がある。陸上風力発電のみちのく風力発電事業だ。
     深い森を抜けて風車建設予定地の尾根に登ると、幹回り3メートル超、推定樹齢約300年のブナの巨木が並ぶ。調査した日本自然保護協会の若松伸彦博士(植生学)は「原生的な森が広がり守るべき場所だ」、青森市の山ガイド・川崎恭子さんは「八甲田山は青森の宝。温暖化対策で森林を大規模に伐採するのはおかしい」と話す。
     川崎さんらは中止を求める署名を集めた。青森県の三村申吾知事は「再エネなら何をやってもいいわけではない」と発言。地元の平内町長や七戸町長に続き、今月2日に青森市長も反対を表明した。
     これに対し、事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社・東京都港区)の秋吉優副社長は立地について「風況の良さが最大の理由」と話す。ただ「これまで周知できていなかった。自然環境への影響を最小限で進められるよう皆さんの意見を聞きながらまとめていきたい」と住民説明会を開くことを決め、事業計画の縮小案を示す意向だ。

  • №11 2022年12月27日【日本経済新聞】 №11 2022年12月27日【日本経済新聞】
  • 青森市議会、 「みちのく風力発電」中止要請の意見書可決
  •  青森市議会は26日、同市など6市町にまたがるエリアで計画されている「みちのく風力発電事業」の中止を求める議員提出の意見書を全会一致で可決した。27日、所管する経済産業省と環境省に意見書を送付した。
     同事業は風力発電最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)が、最大100基規模の風車を設置する計画。対象エリアには八甲田山系など含み、意見書は自然環境保全の重要性を指摘している。これまで対象エリア内の平内町と七戸町の2町長が反対を表明している。

  • №10 2022年12月10日【東奥日報】 №10 2022年12月10日【東奥日報】
  • みちのく風力、計画中止要望 青森の市民団体
  •  八甲田周辺など6市町にまたがる山間部に計画中の「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、青森市の市民団体「Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に」は9日、事業者のユーラスエナジーホールディングス(東京)に計画中止を要望した。県内外から集めた反対署名は1万2737筆に上り、川崎充共同代表は「地元住民や各地からの声を真摯(しんし)に受け止め、本県にとっての八甲田の大切さをもっと理解してほしい」と訴えた。

  • №9 2022年12月3日【東奥日報】 №9 2022年12月3日【東奥日報】
  • 「みちのく風力発電」七戸町長が反対表明
  •  青森県七戸町の小又勉町長は2日、同町西側が計画地に含まれる「(仮称)みちのく風力発電事業」に対し、反対の立場を明らかにした。同日の町議会一般質問で佐々木寿夫議員に答えた。
     小又町長は、計画地の周囲を流れる小坪川は天間林地区の約8割に配水する取水源で住民の生活や地域の経済活動に欠かせないと説明。大規模な森林伐採による水源涵養(かんよう)の低下、作業道路の整備に伴う自然環境への悪影響などを挙げ、町民にも不安が広がっている─として「(実施については)われわれが決めるものではない が、町の立場としては明確に反対したい」と述べた。
     また、同町の八幡岳などに建設された「JRE七戸十和田風力発電所」については、建設地周辺に既に道路があったため、新しい道路を造ることはなかったなどとした。
     みちのく風力発電事業は同町や青森市など6市町にまたがる区域に計画されている。事業者のユーラスエナジーホールディングスは当初の計画を縮小する方針で、町によると、同社から風車総数最大100基の規模で計画していると説明を受けたという。同事業に対しては平内町の船橋茂久町長も10月に反対を表明している。

  • №8 2022年10月27日【毎日新聞】 №8 2022年10月27日【毎日新聞】
  • 「風力先進県」で地元がノー  国内最大級の風力発電計画に“逆風”
  •  風力発電の導入量で全国トップの青森県。そのお膝元の八甲田山系で計画されている国内最大級の風力発電「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、地元で異論が噴出している。事業主のユーラスエナジーホールディングス(東京)は計画の一部見直しを余儀なくされており、思わぬ“逆風”に見舞われた形だ。「風力先進県」で何が起きているのか。【江沢雄志】
  •  日本風力発電協会によると、青森県の風力発電導入量は2021年末時点で65・5万キロワット。都道府県別で最も多く、県内には300基以上の風車が建ち並ぶ。一定の強さの風が安定して吹く「地の利」があることが大きい。
     ユーラス社はこうした風況の良さに加え、風車を建てる際の工事に必要な資材搬入路の整備のしやすさなどから八甲田周辺の土地を選定。21年9月に「みちのく風力」の事業計画を公表した。
     計画によると、青森市や十和田市、平内町など県内6市町にまたがる山間部約1万7300ヘクタールに、高さ約85~120メートルの風車120~150基を建てる。出力は最大約60万キロワットで、一つの風力発電事業としては国内最大。30年4月の運転開始を見込んでいる。
  •  広がる慎重論
  •  一方、青森県も産業の活性化や雇用拡大を狙い、早くから風力の導入を推進してきた。03年に国の構造改革特区の認定を得て国有林での風力発電事業を可能にした他、06年に策定したアクションプランでは「風力発電の導入推進の先導役を担う」と宣言。事業者の誘致や先端技術の開発支援に注力してきた。
     ところが今回、「みちのく風力」の計画を巡っては、関係自治体から慎重論が相次ぐ事態となっているのだ。
     青森県の三村申吾知事は、8月の定例記者会見で「再生可能エネルギーだったら何をやってもいいというものではない」と不快感を表明。資材搬入ルートの開発などに伴って大規模な森林伐採がなされれば、地元の水資源や農林水産業そのものに影響しかねないと懸念を示した。
     陸奥湾に面し、町南部が計画地に含まれる平内町の船橋茂久町長も「山と海はつながっている」と町で盛んなホタテ養殖への打撃を警戒し、10月に入って計画に反対する立場を表明した。「国が地方に課題を押しつけている」とも指摘し、事業者と地元との合意形成に国がもっと関与すべきだと苦言を呈す。
     「(そもそも)再エネは自然を利用するもの。『景観に配慮』『土砂災害に懸念』と言うだけでは導入は進まない。誰しも100点という答えはないのがエネルギーの世界だ」(青森市の小野寺晃彦市長)と理解を示す声もあるものの、計画を全面的に支持する地元首長の発言は見られない。
  •  背景に申請増加
  •  首長らが「待った」をかけ始めた事態に、ある青森県関係者は「これほど反対意見が相次ぐのは珍しい」と驚きを隠さない。風力発電の黎明(れいめい)期には事業者が役所へ事前に計画の説明に訪れていたが、近年は申請が増加。県が計画の詳細を知るのは、環境影響評価法で着工までに公表が義務づけられている4段階の書類のうち最初の「配慮書」が公表されてからだという。
     ユーラス社の場合、「みちのく風力」の配慮書を21年9月に公表したが、そこに記された規模は国内最大である上、事業区域に「十和田八幡平国立公園」が含まれていた。「これまで風車は県民の目に留まらない区域に建てられてきたが、風車の大型化もあって、徐々に適地が少なくなってきている」。県関係者はこう指摘し、「ついに国立公園まで含まれたことで、さすがに県民から不安の声が上がるようになった。知事は『再エネが全て正義だというわけではない』と事業者にくぎを刺したかったのでは」とおもんぱかった。
     実際、みちのく風力の建設予定地で八甲田山系のふもとに位置する田代地区では、配慮書が公表された直後の21年10月、住民らが市民団体「Protect Hakkoda」を結成。景観や野生動植物の生態系に悪影響が及ぶ恐れがあるとして、計画見直しを求める署名7627筆を5月、三村知事と小野寺市長宛てに提出した。
     かつてない規模の開発は“先例”として全国的な注目も集める。神奈川県弁護士会と第二東京弁護士会で環境影響評価の実務を研究する有志は9月、青森県との意見交換に合わせて現地を訪れた。メンバーの幸裕子弁護士は視察後、取材に「日本最大の開発が八甲田という豊かな自然環境の中で行われてしまえば他県もひとごとではなくなる」と語った。
     再エネの導入を急ぐあまり、地球環境保全に逆行しては元も子もないとの見方もある。日本自然保護協会の若松伸彦博士(環境学)は、再エネの導入自体は推進すべきだとした上で「自然林は一度なくなると元通りになるのに数百年かかる可能性もある。開発が環境への配慮を欠けば逆効果となってしまう」と警鐘を鳴らす。
  •  計画の行方は
  •  ユーラス社は、環境影響評価法の手続きで2段階目となる「方法書」の公表時期について、当初「年内」と見込んでいたが、現時点では未定としている。同社は地元の理解を得ようと今年9、10月に青森市内で住民向け説明会を開いた。11月にも予定している。
     江崎耕太国内事業第一部長は取材に「事業区域に含まれていた国立公園を除外する方向で検討している」と明かす。県が昨年12月、同社の配慮書に対し「可能な限り(保安林や国立公園、鳥獣保護区などの)森林や植生、保全地域などを避ける」よう求める知事意見を出していたことを踏まえた対応だ。最大150基としていた風車の数も100基に減らす方向だという。
     「懸念を持たれている住民の方々にも理解していただけるよう丁寧に意見交換していきたい」。こう強調するユーラス社だが、計画の行方は見通せない。

  • №7 2022年10月12日【東奥日報】 №7 2022年10月12日【東奥日報】
  • 八甲田風力計画/平内町長「反対」表明
  •  平内町の船橋茂久町長は10日、町の南側が計画地に含まれる「(仮称)みちのく風力発電事業」などの計画に対し反対の立場を明らかにした。同事業を巡っては想定区域に含まれる6市町の首長で「反対」を表明するのは初めて。今後、シンポジウムや国会議員との会合で意見を述べていくという。
       
  • (左から)八甲田周辺で計画されている風力発電事業の課題を話し合う浜部氏、若松氏、織氏
  •  船橋町長は、同事業について考える青森市でのシンポジウムに出席。終了後の取材に、町内で計画されている風力発電事業により、景観やホタテガイ養殖への影響が懸念されるとし「反対せざるを得ない」と語った。「山、川、海の環境を傷つけてはならない。企業の発電事業のために、地元は課題やリスクを押しつけられている」と不快感を示した。
  • 「環境に影響大 社会的議論を」    
  •  青森市、平内町にまたがる区域で計画されている国内最大規模の「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、市民団体「Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に」は、10日、青森市のアピオあおもりで環境シンポジウムを開いた。有識者らは、八甲田周辺の森林が大量に伐採され、自然環境や生態系、景観に多大な影響を与える恐れがあるとし「一度失われると取り戻すのには長い時間がかかる。関心を持ち、社会的に議論してほしい」と訴えた。
     同事業は高さが最大200mの風車を国有林の尾根沿いなどに120~150基建設する計画。日本自然保護教会の若松伸彦氏は、全国で山間部への立地が増えていると説明。「民間事業であるため収益性が最優先で、自然環境への配慮は優先度がきわめて低い。自然環境を軽視した計画は持続可能な再生エネルギーではない」と指摘した。
     上智大大学院の織朱實教授は「八甲田の景観が青森の歴史的、文化的な価値をつくり出してきた。美しい風景の価値をぜひ地元が理解して発信を」と議論の盛り上がりに期待した。「Protect~」の浜部信彦、川崎充の両共同代表は、風車1基に数百トンのコンクリートが使われ、作業道路が十和田八幡平国立公園にかかることに強い懸念を示し、事業の見直しを主張した。

  • №6 2022年10月11日【朝日新聞デジタル】 №6 2022年10月11日【朝日新聞デジタル】
  • 八甲田の自然保護と風発を考える講演会、  「再エネ、立地に配慮を」
  •  八甲田山系で計画されている国内最大級の風力発電事業をめぐって、建設中止を求める市民団体が10日、青森市内で「八甲田300年の森に迫る危機~自然保護と風力発電を考える」と題した講演会を開いた。
     主催したのは「Protect Hakkoda」。日本自然保護協会の若松伸彦博士(環境学)は、風発計画が青森をはじめ東北に集中していると説明。事業計画の地域には国立公園も含まれており、希少生物が生息し、保安林の役割もある森を開発する点をあげて「再エネ反対ではないが、建てる場所を考えるべきだ」と話した。
     朝日新聞の中山由美記者は、南極観測でわかった過去70万年の気候変動で「現在の二酸化炭素濃度の上昇はかつてない勢い」と地球温暖化の危機を訴え、「人間だけが自然を壊し、汚して生きていいはずはない」と講演した。
     意見交換では、共同代表で山ガイドの浜部信彦さんが、昨年11月に野辺地町で風力発電機から出火する火災があったことに触れ、「八甲田なら山火事になる。冬の吹雪と豪雪の中なら誰も消火に行けず雪崩の恐れもある」と指摘した。

  • №5 2022年9月9日【読売新聞】 №5 2022年9月9日【読売新聞】
  • 国内有数の風力発電量誇る県、
    知事は声荒らげ
    「再生エネルギーだったら何やってもいいのか」
  •  国内有数の風力発電量を誇る青森県内で、景観や環境を損なうとして発電事業の計画変更を求める動きが表面化している。現在、複数の事業者が環境影響評価の手続きを進めているが、住民が反対意見を表明する事業もあり、地元の理解を得られるかが課題となっている。
       
  •   
  •  「再生可能エネルギーだったら何やってもいいのか」。三村知事は8月3日の定例記者会見でこう声を荒らげた。話題に上ったのは、青森市や十和田市、平内町など6市町の約1万7300ヘクタールに最大150基の風車を設置する「みちのく風力発電事業」で、ユーラスエナジーホールディングス(東京)が2030年4月の運転開始を目指し計画を進めている。
     計画で懸念されているのは、事業実施想定区域に八甲田山系周辺が入っていることだ。八甲田山系は雄大な自然があり観光地としても知られ、環境や景観への影響を心配する声が根強い。5月には山岳ガイドらでつくる市民団体が計画見直しを求め、約7600人分の署名簿を県に提出。団体は住民向け説明会を開くなどの活動を展開しており、浜部信彦代表(70)は「青森の大きな財産である八甲田の景観が損なわれてはならない。生態系への影響も計り知れない」と訴える。
     三村知事は記者会見で見解を問われると、「私的な立場」と前置きした上で、「大切な水を蓄える森林を無秩序に開発していいわけがない」と苦言を呈した。
     風力発電を行うのに重要なのは、年間を通して強い風が吹く適地を見つけることだ。県内は風況に恵まれているため導入が進み、21年度の風力発電量は全国トップ。八甲田山系周辺も例外ではなく、「高度が高いと風も強くなり、条件はいい」(ユーラス社広報)という。事業者側には環境への配慮が求められ、事業者は4段階にわたって環境影響評価をする必要がある。ユーラス社は21年9月に第1段階である環境影響評価の配慮書を県などに提出した。
     ただ、事業の妥当性は国が判断する。県は是非を決める権限は持たないが、住民とともに環境影響評価の手続きの段階で意見することができ、国の判断にも影響を与える可能性がある。他県では、関西電力が7月末に宮城県で計画していた風力発電事業の白紙撤回を発表したが、事業に反対する知事や住民の声を踏まえたものだった。
     ユーラス社は住民の反対意見を受け、事業想定区域に含めていた十和田八幡平国立公園普通地域を除外する方針を示した。広報担当者は「地元に丁寧な説明を行い、理解をいただきながら事業を進めていきたい」と述べる。

  • №4 2022年8月2日【東奥日報】 №4 2022年8月2日【東奥日報】
  • 八甲田の風力発電計画、
     国立公園除外
  •  青森市など6市町にまたがる八甲田周辺で計画中の「(仮称)みちのく風力発電事業」について、事業を計画するユーラスエナジーホールディングス(東京)は1日、風車の設置計画区域を見直し、十和田八幡平国立公園普通地域を除外する方針を示した。
     青森市の荒川市民センターで行われた、同事業の中止を求める市民団体「Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に~」との意見交換後に明らかにした。

  • №3 2022年8月2日【日本経済新聞】 №3 2022年8月2日【日本経済新聞】
  • ユーラスエナジー、
     八甲田の風力発電 国立公園を除外
  •  国内風力発電大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)は、青森県の八甲田周辺で計画している風力発電事業で風車の設置区域を見直した。
     計画区域内にある十和田八幡平国立公園エリアを除外する。環境保全を求める市民団体が反対していることなどに対応した。
     同社が八甲田周辺で計画する「みちのく風力発電事業(仮称)」は最大1万7300ヘクタールを想定区域とする。風力発電を120~150基設置して総出力60万キロワットを見込む。今回、想定区域内にある国立公園エリアを除外することを決めた。想定区域の縮小にともない、「設置基数の総数は場合によって減らす可能性もある」(同社担当者)としている。
     風力発電所建設を巡っては、関西電力が宮城県と北海道で計画していた建設予定地に国定公園などが含まれていたことなどを受け、7月29日に撤回を発表している。

  • №2 2022年7月18日【産経新聞】 №2 2022年7月18日【産経新聞】
  • 風力発電の大規模開発 
    東北3知事から「懸念」相次ぐ
  •  風力発電の大規模開発をめぐり、東北6県のうち3知事が相次ぎ懸念を表明している。
     宮城、山形両県にまたがる蔵王連峰での開発計画に宮城県の村井嘉浩知事が「反対」と明言。山形県の吉村美栄子知事も「選んでほしくない」と述べた。
     青森県の三村申吾知事は「無秩序」な森林開発に懸念を表明。背景には、国策による再生可能エネルギー開発の大規模化の中、風の適地が多いとされる東北地方に事業が集中している現状がある。
  •  きっかけは宮城、山形両県の蔵王国定公園を含む地域で持ち上がった、関西電力(大阪市)による最大23基の風力発電計画だった。
     6月6日、村井知事は定例記者会見で「関電が東北で事業を進めるのには違和感がある」と疑問を呈した。7月4日には地元、川崎町の町長が景観や自然環境、土砂災害への悪影響から反対する意見書を県に提出。知事は同日の定例会見で「これだけ住民が不安に思っており、町長は非常に厳しい意見書を私に出した。まさに民意。それに基づいて私も反対とはっきり申し上げたい」と述べた。
     山形県の吉村知事は6月24日の定例会見で「蔵王は山形を代表する観光地。選んでほしくない」と同調した。
     これに先立つ6月10日には、青森県の三村知事が県議会の一般質問で、県内の八甲田周辺などでの風力発電計画をめぐり「森林を無秩序に開発してよいというわけではない」などと懸念を示した。
  • 再エネの是非でなく
  •  太陽光や風力など再エネをめぐっては、菅義偉前首相が2050(令和32)年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言。政府は「再エネの主力電源化」を掲げている。
     この流れの中、陸上、洋上の各風力発電の開発計画が大規模化。さらに風の適地などの関係から、北海道や東北など同一地域への事業の集中化が起きている。このため景観や自然破壊、健康被害などをめぐって、地域住民との合意形成が各地で課題となっている。
     「蔵王風力発電建設計画の中止を求める会」共同代表の農業、佐藤大史(まさふみ)さん(40)は「再エネの是非ではなく、大規模開発による環境破壊に強く反対する」と話す。
  • 「節度」超えた事業
  •  村井知事は一連の発言の中で、再エネ開発について「先人が育ててきた木を切ることで、逆に二酸化炭素の吸収源が減っていく」とその矛盾点を再三指摘。
     その上で「蔵王に限らず、全県でそういう動きが出ている」と懸念を示した。県環境対策課によると、県内で環境影響評価手続き中の風力発電は約300基に上るという。
     中でも、栗駒国定公園にも近い宮城、山形両県の3市3町にまたがる鳴子温泉周辺では、外資系を含む4事業者による7つの計画が進行。最大高さ200メートルの風車が最大計約190基、集中立地するという。
     住民団体の一つ「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」(曽根義猛代表)は「節度を超えた大規模事業には健康、安全、環境、景観破壊など疑問や不安がある」として、全計画の白紙撤回を求めている。
     計画地の一部には、希少な渡り鳥のルートが含まれ、同会や「日本雁を保護する会」などが実態を調査。16日にオンラインで開かれた調査報告会では、保護する会会長で研究者の呉地正行氏が「絶滅危惧種のシジュウカラガンを含む、ガン類などの主要な渡りルートの一つだと分かった」などと報告した。
  • (左から)山形県の吉村美栄子知事、宮城県の村井嘉浩知事、青森県の三村申吾知事

  • №1 2022年5月11日【Newsweek日本版/プレリリースから】 №1 2022年5月11日【Newsweek日本版/プレリリースから】
  • 再エネにより豊かな森林や地域の生活が脅かされていることを知ってください
  •  ブナの若葉、彩る花々、輝く紅葉、樹氷広がる白銀の世界… 四季折々の美しさあふれる八甲田山。その多様な生態系の価値は十和田八幡平国立公園として認められています。国内外から訪れる人々を魅了する八甲田山に今、国内最大規模の風力発電事業が計画されています。世界自然遺産・白神山地に並ぶブナの森・八甲田山… その豊かな生態系を守るため、取り返しがつかなくなる前に“八甲田山の未来”を皆で考えようとできた団体が、Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に~です。
     株式会社ユーラスエナジーホールディングスが、十和田八幡平国立公園を含む青森市、十和田市、平内町、野辺地町、七戸町、東北町の6市町村にまたがる八甲田山周辺で日本では例を見ない1事業の規模では国内最大の陸上風力発電事業を計画しています。事業計画区域には十和田八幡平国立公園も含まれており、ほぼ全てが森林区域で保安林にあたります。
     大規模な森林伐採でニホンカモシカやイヌワシ、クマタカなど、動植物の安住の地は奪われ、土地の改変で山の保水力が失われれば、土砂崩れなど災害の危機も増すばかり。日本一おいしい水と言われた青森の水、その八甲田山系の水源が失われることにより動植物だけではなく、人の生活にも影響を及ぼすことになります。豊かな命が育まれる自然環境を壊してしまえば、百年以上取り戻すことはできません。